No.46 新川河口排水機場管理棟『海風に耐えるカーニバル工法』
透湿防水シートと鋼製下地によって、止水性能を向上
新川河口排水機場は、昭和47年に完成した日本最大の排水機場です。
この地域の排水を行なう人口の「新川」の水位を低く保ちながら、流域にあるその他の排水機場や、河川の治水を助ける重要な役割を果たしている施設となります。
この施設のポンプなどの機械類を収容する建物が今回外壁タイルを施工した管理棟となります。
最初に設計者の方から問合せを頂いたときは、外壁タイルの浮きやひび割れ等が酷く、内部に漏水している箇所が発生している建物があり、
リニューアル工事として止水処理と外壁タイルの改修工事の検討を依頼されました。
その後の打合せにおいて、劣化が進んだ既存の外壁タイルを全面除去した後、下地側に防水処理を施し、通気層のある乾式タイル張り工法で施工することとなりました。
そこで、弊社の「NEWカーニバル工法」の採用が決まりました。
建物が日本海に面する河口に位置することから、海からの強い風に耐えられる強度に加えて、潮風に対する耐蝕性が求められることになり、鋼製下地の材質を一般的なSUS304からSUS316に変更しました。
また既存タイルを除去した後、まず躯体面に防水処理を施し、その上に「透湿防水シート」を挟み込みながら鋼製下地を設置することで、止水性能を向上させることとなりました。
施工が始まると、既存のタイルは張付けモルタルをたっぷり盛付けて張付ける、いわゆる「団子張り」で施工されていました。
「団子張り」は、工期面やコスト、安全性などの点から現在ではほとんど使われなくなりましたが、不陸のある下地面に対しても調整しやすいメリットがありました。
既存タイルを除去した後の躯体表面を実測すると、想定以上に不陸が大きいことがわかりました。
また階毎の打継ぎ部分には、30mm以上の段差が部分的に生じていました。これらの不陸や段差を解消するために、各部の状況に合わせた数種類のアングルを組み合わせながらの施工となりました。
外壁タイルのリニューアルでは、既存タイルのこげ茶色から鮮やかなレンガ色にイメージチェンジし、近隣の防風林との調和が図られる仕上がりとなりました。
これからも引き続き、この地域のランドマークとして住民の方々に愛される建物となることを願います。
- 工事名:新川河口排水機場管理棟内外装改修工事
- 所在地:新潟県新潟市五十嵐三の町地内
- 発注者:北陸農政局
- 設計:北陸農政局・NTCコンサルタンツ㈱
- 監理:北陸農政局
- 施工:㈱ 坂詰組
- タイル施工:㈱ 日本陶業
- タイル:せっ器質二丁掛無釉品(ニッタイ工業㈱製NCV-2-83)
- 工法:NEWカーニバル工法RC壁浮かし工法
- 工期と数量:
- ①2016/6~2017/1 520m² ②2017/10~2018/4 190m² ①、②合計710m²
- タイル形状:二丁掛・フラット粗面・無釉(ニッタイ工業㈱ NCV-2-83)
- 営業担当:西真慶、若山修三 工事担当:森下宏和 職長:千葉信夫(八千代内装)