No.48 長谷川製作所新工場
『ECP目地を跨げるタイル張り~カーニバル・メース工法』
『ECP目地を跨げるタイル張り~カーニバル・メース工法』
●鉄骨造でも本格的なタイルを施工したい
以前 『タイルに魅せられて』No.38 で、カーニバル工法を直留めしたECP(押出成型セメント板)壁面の動的層間変形試験をご紹介いたしましたが、「長谷川製作所新工場(埼玉県川越市)」において、同工法による施工事例が実現しました。 鉄骨造の建物にタイルを施工する場合、ECPなどのパネル材を下地面とすることになりますが、 この際に問題となるのが、地震などの外力を受けたときに発生する「層間変形」です。ECP外壁は、 建物の変形に対して隣接パネルどうしがズレることで層間変形に追従する為、 タイルを張る場合は、ECP目地を絶対に跨がない様に施工しなければなりませんでした。 そうするとどうしても、タイル目地とECP目地とを合わせる必要があります。
●意匠の幅が広がる「大壁」仕上げ
ECP目地を跨いでタイルを自由に施工できないか?この問題をカーニバル工法で解決したのが、 今回ご紹介する「カーニバル・メース工法」です。カーニバル専用レールは、メース下地面に専用ビスでスイングする様に固定します。 タテ張りしたECPは、層間変形に対して「ロッキング」で追従しますが、パネル1枚あたり1箇所留めとすることで、ECPのロッキングと干渉しないようにレールが固定できます。 一方のタイルは、下地面ではなく専用レール材に固定しているので下地面の変形の影響は受けません。 この特殊な施工により、ECPの目地を跨いでタイル張りすることが可能となりました。 ECP目地を跨ぐことにより、従来は不可能であった馬目地も施工できるうえ、鉄筋コンクリート造などで必要とされる伸縮調整目地も設ける必要はありません。 まさに「タイルによる大壁仕上げ」が実現できることになります。
カーニバル・メース工法 動的層間変形試験の段取り ▶︎詳細はこちら
1試験用パネルの建て込み | 2カーニバルレールの取付け | 3タイルのセット 試験体の完成 |
●ZAMレール
カーニバル・レールも、それまでのステンレス製レールに加えて「ZAMレール」が新たに加わりました。 ZAMは「高耐食溶融めっき鋼板」と呼ばれるもので、曲げ加工を施す部材のプレめっき品として信頼性が高く、すでに建材を中心として幅広く普及している特殊鋼板です。 施工性はステンレス製のレールとほとんど同じですが、ZAMを黒色仕上げとすることにより、タイルのタテ目地の隙間から見えるレールがほとんど目立たなくなりました。
- 設計:株式会社第一建築設計事務所
- 施工:三光建設株式会社
- タイル施工:㈱日本陶業
- タイル:二丁掛割り肌タイル(せっ器質)馬張り
- メーカー:ニッタイ工業株式会社
- ECP:アイカテック建材㈱ メース厚60
- 工法:カーニバル・メース工法(ZAMレール)
- 営業担当:若山修三 工事担当:森下宏和 職長:島田敏夫