No.51 奈良公園バスターミナル『押出成型セメント板への“浮かし”施工』
乾式嵌合タイル張りで、歴史的景観に配慮した外観に
奈良県庁の隣に位置する「奈良公園バスターミナル」は、奈良公園周辺の交通渋滞を緩和し、周遊環境を向上させることを目的として建てられた交通と商業の複合施設です。飲食や物販はもちろん、奈良公園のコアな情報を発信するコーナーや、レクチャールーム、屋上庭園などが併設されており、これからの奈良公園観光の中心施設となることが期待されています。この施設の東棟(東大寺側)の外壁において、ニューカーニバル工法による乾式嵌合タイル張りが採用されました。
建物は鉄骨造2階建て、周囲の歴史的な景観への配慮から黒を基調にした落ち着いた外観で、高さも軒高10m程度に抑えられています。外壁のニューカーニバル工法は、下地となる押出成形セメント板の上に、鋼製下地材を組み合わせ100~120㎜浮かせたタイル面を構成。これは鉄骨軸組の層間変形へ追従性を考慮したものです。
押出成形セメント板への施工は、下地のアンカーボルト設置場所がパネルの割付により制限されますので、各部位ごとの強度を確認しながら位置決めする必要がありました。特にこの建物では、出隅コーナー部が連続するため、強度の確保と同時に施工性を考慮した納まりとしました。
タイルを固定するカーニバルレールは黒メッキが施されたZAMレール品を使用し、タイル目地間にレールの存在が極力目立たないように配慮。外観は、周囲の景観に影響の小さい黒いタイルで仕上げられ、一般的な二丁掛タイルと鎧面状タイル(300×125・厚20~30㎜)の2種類を使い分けて単調にならないように工夫されています。
タイルやガラスなど伝統的ではない建材を使用しながらも、歴史的な景観に違和感が生じないようにデザインされた奈良公園バスターミナル。奈良・東大寺観光の折には、ぜひお立ち寄りいただき、奈良観光の情報収集のついでに、ニューカーニバル工法の外装タイルもご覧ください!
※左奥の建物が奈良県庁となります
- 施主:奈良県
- 設計:株式会社 アール・アイ・エー
- 施工:奥村・山上特定建設工事共同企業体
- 構造:鉄骨造2階建て
- 竣工:平成30年12月
- タイル工事:㈱日本陶業
- 営業担当:若山修三
- 工事担当:岡庭匠理
- 職長:本間勝利
- タイルメーカー:㈱国代耐火工業所
- 形状:特注ヨロイ形状W290xH125xT20~30mm、二丁掛W227xH70xT20mm