No.53 荒川区立尾久図書館
ECP目地を跨いだタイル張り~カーニバルECP直張り工法
ECP目地を跨いだタイル張り~カーニバルECP直張り工法
◆荒川区立尾久図書館は、都電荒川線の宮ノ前停留所から徒歩2分、宮前公園の中に建てられた新しい図書館で、仕上げの異なる直方体が放射状にレイアウトされた、特徴のあるデザインとなっています。
◆設計ポイントの一つが「壁の重量をできるだけ軽くする」ことでした。これは内部空間の見通しが良くなるように柱を極力少なくかつ細くするためで、鉄骨造+ECP※(アイカテック建材メース)という構造となりました。外壁の仕上げは部分的にレンガ調のタイル張りとなり、タイルをECPに直接施工できる「ニューカーニバルECP直張り工法」をご採用いただきました。
◆もともとこの尾久地区には、原料の入手や隅田川の水運で運搬が容易なことから、明治時代から大正時代にかけて多くのレンガ製造工場が操業していたとのことです。このことが尾久図書館の外壁にレンガ調のタイルが使用された理由のひとつとなりました。図書館のエントランス横には、当時建造されたレンガ塀の一部が移設され、保存展示されています。
◆鉄骨造の建物は、地震等の水平荷重によって躯体の変形、いわゆる層間変形が発生します。タテ張りで施工されたECPは、この層間変形に対してパネルが1枚ずつ回転する「ロッキング」で追従します。したがって従来の工法でECPにタイルを張る場合には、ECPの目地を絶対に跨がないようにタイルを割付けて施工しなければなりませんでした。
◆弊社開発による「ニューカーニバルECP直張り工法」は、この制約を解消しました。専用レール材の取付け工法を改良することにより、レールおよびタイルをECPの目地を跨がせても層間変形に対して安全に施工することが可能となりました。当建物におきましても、ECP壁面全体にレンガ調の二丁掛タイル(馬張り)で施工することにより、レンガ積みの重厚感を再現することができました。
※ECP=押出成形セメント板(Extruded Cement Panel)
→詳しくは弊社You Tube技術編「カーニバルECP直張り工法」をご参照ください。
→荒川区立図書館HP https://www.library.city.arakawa.tokyo.jp
- 施主:荒川区
- 設計:株式会社類設計室
- 施工:坪井・中村建設共同企業体
- 構造:鉄骨造 一部鉄骨鉄筋コンクリート造
- 階数:地上2階建
- 開館:2021年2月
- タイル工事:㈱日本陶業
- 職長:高橋浩之
- 工事担当:佐々木英知
- 形状:二丁掛ラフ面 W227xH74xT20mm(ニッタイ工業)