No.54 都市型納骨堂「了聞(りょうもん)」
スパンクリート版に幅・長さ・厚さの異なるタイルを乾式施工
スパンクリート版に幅・長さ・厚さの異なるタイルを乾式施工
東京の外苑西通りを南下すると、地下鉄広尾駅の手前に人目を惹きつける建物が現れます。この直方体の一角をナイフで削ぎ落したような独特な形状の建物が、都市型納骨堂「RYOMON~了聞」です。この了聞は、これまで都市郊外に設けられることが多かったお墓をあえて市街地の納骨堂とすることにより、間隔が空きがちだったご先祖や故人と向き合う機会を少しでも多くしたい、という願いから建てられました。建物の構造は鉄骨造7階建てで、外壁はタイル仕上げとなる道路側の2面が幅1.2mのスパンクリート版、裏側の2面がECPで施工されています。
◆建物の形状も特徴的ですが、同様に特徴的なのが外装タイルです。この建物のために新しいコンセプトで設計されたタイルは、長さで3種類、幅と厚さの違いで5種類あり、釉薬の有無を加えると30種類以上となります。最も大きなタイルは長さ300×幅240×厚35㎜で、1枚あたり5㎏近い重さとなります。このような重量のあるタイルでも、嵌合乾式のNEWカーニバル工法であれば、安全・安心な施工が可能です。厚さや長さの異なるタイルは、あらかじめ設定されたモジュールによって設定・配置され、カーニバルレールに確実に固定されています。
◆完成した壁面は、遠目には落ち着いた色調のタイル仕上げに見えますが、近づいていくにつれて、様々な大きさ・厚さのタイルがランダムに組み合わさっている様子がわかります。その様子はあたかも、故人へのさまざまな想いがこの外壁に集まっているようにも見えてきます。NEWカーニバル工法は、一般的なタイルに限らずこのような特殊な形状のタイルにも柔軟に対応できて、剥落防止を確実にする優れた工法です。
- 施 主:宗教法人 瑞華院
- 設 計:竹原義二(無有建築工房)
- 施 工:大和ハウス工業株式会社
- 所在地:東京都港区南麻布5-1-4
- 構 造:鉄骨造 地下1階・地上7階建
- タイル工事:株式会社日本陶業 / 職 長:伊藤一徳 / 工事担当:森下宏和
- 形 状:特注品 幅:60~240㎜ 長さ:200~350㎜ 厚:20~35㎜(都窯業株式会社)
了聞(りょうもん)| 広尾にある都市型納骨堂 ホームページ →https://ryomon.jp/