No.35 太田市民会館『繊細なヒダと緩やかにうねる煉瓦壁』
繊細なヒダと緩やかにうねる煉瓦壁
白いレンガで、ゴシックの教会のような天にむかって高く伸びるリブをつくりたい、そこがこのホールの原点でした。
しかしどうやって積んだら良いか悩んでいたところ、たまたま古い遺跡の石の階段の写真をみつけて、これを縦にしてみたらいけるんじゃないか、と閃きました。
音響的に、小さいリブ、大きいリブがランダムにあると良かったので、三種類の大きさのレンガをずらしながら不規則にウェーブさせると、小さなヒダ、大きなヒダがうねる大きなタペストリーのような、繊細さを感じさせる見たことのないレンガの壁ができあがりました。
後壁には吸音が必要だったので、レンガを編んでリブを作った透かし積みにし、背後にグラスウールボードを貼りました。こちらは遠目でみるとざっくりと編んだ透かし模様のカーテンのようになり、2種類のレンガのタペストリー、そして膜のような形状の曲面天井と合わさり柔らかさと繊細さ、そしてダイナミックさを併せ持つ美しい空間ができあがりました。
また、レンガ際に設置したライン照明、トップライトによりレンガのリブに光の筋がのび、ヒダやうねりが効果的に演出され、レンガ積みの様々な可能性と魅力を発見したプロジェクトとなりました。(横山智香)
割付墨出し
荷重受け金物取付け
巾木レンガ根付け
レンガ積みと補強金物の取付け
吹出口テラコッタの取付け
レンガ透かし積み
縦筋とカスガイ筋の取付け
マグサ部の補強金物取付け
波型レンガ積み(側壁)
側壁のウエーブ足元
天井との納まり
レンガ模様積み(背壁)
レンガ積み(吸音室)
側面と背面壁の仕上がり
緩やかにうねる煉瓦壁
ホール全景
多目的ホール(外壁)
ホール・エントランス
建物概要
- 工事名称:太田市民会館
- 住所:群馬県太田市飯塚町200-1
- 建築主:群馬県太田市
- 竣工:2016年11月30日
- 設計:㈲香山壽夫建築研究所
- 施工:関東建設工業㈱
- 規模:地上4階 地下1階
- 各部の高さ:軒高 GL+32.390m、最高高さ GL+34.208m、構造型式 ラーメン構造
- 構造:SRC造 RC造 S造
- レンガ工事・下地鉄骨工事:㈱日本陶業 営業担当:西真慶、後藤大
工事担当:岡庭匠理 職長:千葉清一 - レンガ形状:245×90×75ミリ、330×90×75ミリ