No.38 パネル目地を跨ぐタイル仕上げが可能
~カーニバル工法の層間変形試験~
~カーニバル工法の層間変形試験~
1.現状~パネル系外装材の限界
新しい施工方法へのチャレンジです!タイル仕上げは、鉄筋コンクリート造などの安定した躯体に施工することが一般的ですが、現在建設されている建物の主流は鉄骨造。 鉄骨造の建物は、地震が発生した際に「層間変形」が生じますので、外壁には層間変形に追従可能なパネル系外装材であるALCや、押出成形セメント板(ECP)がよく使われています。 これらのパネル系外装材にモルタルや接着剤でタイルを張る場合、層間変形によってパネル目地にズレが生じるため、パネル目地を跨いで直接タイルを張ることができず、パネル目地と同じ位置でタイルにも目地を設けなければなりません。 したがって、いわゆる「大壁仕上げ」を実現することは不可能。一方、従来の乾式工法では、タイル面の内側に層間変形に追従できる鋼製下地を設けることで大壁仕上げは可能ですが、使用材料や工程が多くなるためコスト高となる傾向がありました。
2.カーニバル工法でECPにタイルを直付け
タイル施工のプロフェッショナルとして何とかこの現状を打破したい・・・。私たち日本陶業が、カーニバル工法で培ってきた乾式施工のノウハウを応用する外装材として選んだのが「押出成形セメント板(ECP)」です。 ECPは、建物の「層間変形」に対してロッキング(回転)で追従します。そこでカーニバル工法の施工特性を生かし、専用レール材をパネル中央の1点だけで固定し、回転させることで、タイル面がレールごとスウィング。ECPの目地をタイルが跨いでも、層間変形は阻害されない、と考えました(写真右)。
3.動的変形性能試験
ロッキングする押出成形セメント板に追従できるのか?それを実証するために、(財)建材試験センターにおいて「動的変形性能試験」を実施しました。壁面として600mm幅のECPパネル全10枚を上下2層に取付け、 カーニバル工法によってタイルをパネルに直付けで施工。この壁面を試験体として、動的に変形させる実験を行いました。最大1/100(rad)の動的変形が生じてもタイルには異状が無く、パネルにも有害な異状が発生しないことが確認され、高い変形追従性があることが実証できました。 カーニバル工法はもともと、定期点検における打診検査が免除されるほど安全性が高い乾式嵌合タイル工法でしたが、今回の実験によって、層間変形の大きな鉄骨造の建物に対しても、ECP下地への乾式タイル直付け工法として、お客様に安全とコストの提案が可能となりました。