No.49 ジョワレ恵比寿
『鉄骨造でタイル仕上げ ~ スイングするカーニバルECP直張り工法』
『鉄骨造でタイル仕上げ ~ スイングするカーニバルECP直張り工法』
宙に浮くレンガタイル ~ 軽やかなファサードを
ジョワレ恵比寿は狭い敷地に計画されたテナントビルである。
オーナーである吉田商事(株)の吉田社長とは隈研吾建築都市設計事務所にいた頃からのお付合いで、
この建物にレンガを使用したのも隈氏とも親交の深いオーナーから
「隈さんがあまり使っていないし、面白いかもしれない」と提案されたことがきっかけであった。
本来はバルコニーと同様に外壁も本レンガ積みとしたかったが、防水性や層間変形への追従性などから、
ECP(アスロック)を下地壁面として、レンガタイルを乾式で嵌合固定させる「カーニバルECP直張り工法」とした。この工法は、
ECP目地を跨いでタイルを取付けても1/100の層間変形に対して異常が生じないことが動的変形試験によって確認されており、
下地となるパネルや目地を感じさせない大壁タイル仕上げが可能であることから採用した。 レールのスイング挙動を確保する専用ビスで固定
レンガ調のタイルを活かしながらも軽やかな印象のファサードとするため、鉄骨造およびECPの施工特性を利用し、
ガラスの壁面にレンガタイル面を分散させて配置するデザインとした。
実際に通りからファサードを見上げると、ガラスに空や雲が映り込んで、レンガタイル面が宙に浮いているかのようにも見える。
ジョワレ恵比寿は恵比寿駅西側の繁華街に立地している。場所柄、無秩序で個性的な建物が林立している中、シンプルで上品な意匠でありながら、静かに個性を主張しているビルディングを、この街に仲間入りさせることができたのではないかと思っている。
細村研一(studio h+)
- 1956年 埼玉県生まれ
- 1979年 工学院大学建築学科卒業
- 1987年 隈研吾建築都市設計事務所入社
- 取締役設計室長として17年在籍
- 2004年 studio h+ 設立
- 主な作品:武南中学校、ARTE OTEMACHI、
- mosia、遊茶「茶意館」
鉄骨組立
ECPの施工
ECPへのレールの取付け
※レールのスイング挙動を確保する専用ビスで固定
タイルのセット
建物全景
レンガ透かし積み(上階)と乾式タイルのバルコニー
エレベーターホール(ECP直張り)
タイル端部の納め(低層部)
出隅部分の納まり(上階部)
建物概要
- 名称:ジョワレ恵比寿(渋谷区恵比寿南)
- 構造規模:鉄骨造地下1階・地上7階
- 設計:細村研一(studio h+)
- 施工:株式会社 辰
- タイル施工:株式会社 日本陶業
- タイル:二丁掛タイル(せっ器質)馬張り
- メーカー:ニッタイ工業株式会社
- 工法:カーニバルECP直張り工法
- 営業担当:若山修三 工事担当:森下宏和 職長:三田地 守(八千代内装)